LC-MS/MS法によるタンパク質同定解析サービス

データ解析用コンピュータの性能が著しく向上したことに伴い、質量分析装置から供給される大量のスペクトルデータの処理が可能となりました。微量のサンプルに対応し、高分離能を発揮するNanoLC-MS/MSや、ペプチドタグによる効率の良いタンパク定量や比較解析が出来るようになりました。
ABI社やBruker社の世界トップレベルの質量分析装置を20台以上揃えている環境の下で、目的に応じた最適な同定解析サービスをご提供いたします。

■iTRAQTMを用いた同定定量解析
iTRAQTMとは?
ABI(アプライド バイオシステムズ社)が開発したペプチドタグ質量分析法です。分子量の異なる(Da:114, 115, 116, 117)低分子をペプチドに化学結合させ、ESI-MS/MSによって定量解析します。図1のように複数のサンプルを(4種類)を同時に混合してタグ低分子の分子量の 違いによって定量値を補正比較しますから、高い定量性を有します。(基本は4種類ですが、8種類混合可能なiTRAQTM新規試薬にも対応いたします)
実際には、サンプル(健康被験者と患者被験者)同士を複数の組合せでプールとし、それをレファレンス(sample D)とし、患者被験者サンプルを複数の異なる3サンプルに分け(sample A、B、C)、その組合せの数だけLC/MS/MSを行い、確度の高い定量比較解析を行ないます。

●図1 iTRAQTMにおけるサンプル解析ダイアグラム

(*1)SCXカラムを用いたiTRAQTMラベル化サンプルのクロマトグラム

(*2)NanoLC ESI-MS/MSによる解析
上記のクロマトグラムは10-30分画のフラクションに分けられ、各フラクションは次に、NanoLC ESI-MS/MSによって下記のような質量スペクトルデータが得られます。タグの分子量の違いによって、レファレンス(sample D)に対する比較対象(sample A、B、C)の同定と定量を行ないます。

■NanoLC ESI-MS/MS
主に分離の向上と感度の向上を目的として、コンベンショナルサイズのHPLCとは別にNano Flow HPLCを分離系に採用するケースが多くなっています。ペプチドなどの水系溶液のイオン化効率は10-5%程度と考えられており、MSイオン源に導入する液量が少々多くても検出されるイオン量は極めて少ないため、通常サイズのHPLCに比べて取り扱いの不便さを除けば大変有用な方法であると思われます。
タンパク質やペプチド類は比較的イオン化が進みやすいのですが、糖のような修飾基が結合している場合は下図のように感度が出ないため、多くの場合見落としてしまうことになります。
このような場合は糖鎖部分を酵素や化学試薬で切断し、糖鎖の分離を行ないます。(糖鎖解析の詳細は「糖鎖構造解析サービス」の項をご参照ください)

P3はあるペプチド、GP3はそのペプチドに糖鎖が付加した糖ペプチド。このようにイオン化効率は糖ペプチドの場合、ペプチドに比べて極めて悪く、ペプチド部分と糖鎖部分を分けて解析したり(*3)、クロマトの感度を向上させる(Nano FlowやCapillary Flowの採用)工夫が必要となります。(出典:近藤昭宏教授より)