ライフサイエンス先進国
日本ではあまり知られていないオーストラリアの顔、それが医学・科学・工学・農業分野における優れた実績です。例えば、ノーベル医学生理学賞受賞者の受賞者は6名を数え、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、スイスに次ぐ実績となっています。2005年には、ピロリ菌の研究により胃炎と消化性潰瘍の原因追究に貢献したことに対し、Barry Marchall教授とRobin Warrent博士の2名が受賞しています。また同年、Ian Frazer教授が世界初のガン予防ワクチンである子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)を開発、世界の注目を集めました。
オーストラリアのノーベル賞受賞者を見ると、オーストラリアがライフサイエンス分野に優れた国であることが分かります。1915年以降、オーストラリア人が受賞した10個のノーベル賞のうち、9個が科学賞か医学賞でした。他にもオーストラリアに関係のある人々が受賞したノーベル賞8個も、5個が化学賞か医学賞です。

先端技術に関わる研究者の宝庫
オーストラリアの科学研究分野における重要な組織の一つが、1926年に設立された豪州連邦科学産業研究機構(CSIRO: Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)です。世界最大級の研究施設を国内、海外に56カ所保有し、研究スタッフは6,500人を数える、最も大規模で多様な研究・開発を行う政府機関です。研究分野は、農業関連産業、科学情報技術、製造技術、医療・保健分野、エネルギー関連分野、宇宙・環境関連分野など広範にわたり、その研究成果は商用化のために広く活用されています。
オーストラリアの医学医薬関連分野は、米国FDAや欧州機構EMEAから、同等機関であるとの認定を得ている上、臨床試験などの透明性・コンプライアンスも高いことから、年間2000プログラムを超える臨床治験が行われています。そのため、臨床研究実施に携わる人材も、豊富で経験に富んでいます。

<臨床試験ネットワーク>
バイオ・ルネサンスはオーストラリアにおいて、臨床研究に関連する様々な機能を、学術研究機関、企業、医療施設などにより有機的に実現するネットワーク─Translational Research Intiativesを構築しています。2012年現在、150人以上のスタッフ、20以上の機関がメンバーとなっています。
●オーストラリアにおけるTranslational Research Intiatives(PDFファイル)

〔代表的なメンバー〕
■学術研究機構─BIO PLATFORM:バイオ・プラットフォーム
シドニー地区のライフサイエンス分野における大学・研究機関が、各々の特徴ある研究分野を横断的に提供。主なメンバーには、マッコリー大学(Macquarie University)付属APAF(Australia Proteome Analysis Facility)、Genomics Australia 、Metabolomics Australia、Australian Bioinromatics Faciltiyなどが参加しています。
■医療機関
代表的な州立病院であるPrince of Wales HospitalおよびRoyal Hospital for Women、St. Vincent Hospitalなどが利用できます。さらに、CROやBio Venture企業がプロジェクトベースで参加しています。その他、経験豊富なCROや治験ナースも多く、充実の支援体制を構築しています。
●Nucleus Network(PDFファイル)

高いコストパフォーマンス
オーストラリアでは、HREC(Human Research Ethics Committee)とTGA(Therapeutic Goods Administration)に一元化された行政システムが、効率的な臨床研究支援体制を構築しており、海外の研究者・企業へも解放されています。また、オーストラリアには、170万人におよぶアジア系移民がおり、その数は全人口の8%に及びます。特にシドニー・メルボルンなどの大都市に、これら移民が多く居住しており、臨床研究に重要な要素となる人種分布においても、日本の研究環境とは高い親和性があります。
また、オーストラリア・ドルの為替レートは、日本円に対して魅力的であり、そのコストは欧米の6割から7割程度に収まっています。このことは、日本企業が研究活動を進める際の、大きなアドバンテージといえます。
このように、オーストラリアには臨床研究の実現を、より実践的かつ具体的に推進できる理想的な環境があるのです。